鳥さんの呼吸
Ⅰ呼吸とは?
Ⅱ鳥さんの呼吸器の特徴
Ⅱ-ⅰ肺が固定されている
Ⅱ-ⅱ横隔膜が無い
Ⅱ-ⅲ気嚢がある
Ⅱ-ⅳ骨に空気が入る
Ⅱ-ⅴ気管に鳴管がある
Ⅱ-ⅵ気管輪が完全に輪状になっている
Ⅱ-ⅶ空気毛細管でガス交換を行う
Ⅲ鳥さんの呼吸様式
Ⅳ鳥さんの呼吸器病 ←今回はここ!
Ⅳ鳥さんの呼吸器病
アスペルギルス症
この鳥さんは真菌であるアスペルギルスによる下部気道疾患(LRTD:Lower Respiratory Tract Disease)を起こしています。
苦しいため嘴を開き、やや顎を上げて、顔が赤くなっていることが分かります。
鳥さんの呼吸器の病気は非常に多いです。それは鳥さん自体が、バイ菌(特に真菌)に対して感染しやすい特性を持っていたり、複雑な呼吸システムを持っていたりする事が理由に挙げられます。特に気嚢は骨の中まで入っています。そのため、開放性の骨折をするだけでバイ菌が骨の中に通じている気嚢に入り込み気嚢炎やそれに通じている肺炎を起こします。さらに気嚢は身体の隅々まで広がっています。その事は一度入ったバイ菌も隅々まで行く事を表しています。そして、気嚢自体も細胞1~2層で出来ている非常に薄い膜様物です。そのため、血管などは粗であるため一度感染してしまうと、なかなか治りづらくなってしまいます。
鳥さんの呼吸器に感染する病気はウイルス、細菌、真菌、原虫、寄生虫など様々で、これらが複合となって感染している事も多々あります。そのため、治療には非常に長い時間と根気を要する場合もあります。呼吸器病は早期発見が重要です。咳、くしゃみ、鼻水などの症状から、尾っぽを上下に振って呼吸するボビング、顎を挙げて気道を伸ばして呼吸するスターゲイジング、肩で息をする努力呼吸、口を開けて行う開口呼吸などの呼吸器病に付随する症状・状態を見落とさないようにする事が重要です。さらに鳥種によってはある種の真菌に非常に感染しやすく、呼吸器系が弱い鳥種もいます。温度や湿度の管理も重要になります。